幸せな結婚生活を送るために

人生のステージと愛の成長

人生のステージと愛の成長 統一原理では、愛を育てる第一の学び舎は「家庭」であり、そこで育まれる四種類の愛の成長と広がりこそ、世の中に存在するすべての愛の原型であると説明しています。この四種類の愛というのが、「子女の愛」「兄弟姉妹の愛」「夫婦の愛」「父母の愛」の四つであり、人が成長するにしたがってこれら四つの愛も成長していくと考えます。
子どもが親から愛を受けて育ち、親を喜ばせたいという思いを高めていく時期が幼少期です。この時期に育まれるのが「子女の愛」で、これは「受動的な愛」「反射的な愛」とも言われます。光を照らし返す鏡のように、子どもは親から受けた愛に対して「喜び」を返そうとするのです。

それが成長するにしたがって、親のみに向けられていた愛や関心が、だんだん周囲へと広がっていきます。これが「兄弟姉妹の愛」です。兄弟姉妹の愛は、「自分を愛してくれるから愛そう」という子女の愛と異なり、「親が愛する存在を、自分も同じように愛していこう」とする愛であり、親や周囲から注がれた愛を、今度は自分が主体となって他の兄弟姉妹や周囲に分け与えようとするのです。そのため兄弟姉妹の愛は、人が初めて抱く「主体的な愛」と言えます。

さて、この二つの愛のステージを経て、適齢期に達した男女がいよいよ迎えるのが「結婚」です。結婚によって、人の愛の成長には大きな転換期が訪れます。夫婦の愛がそれまでの二つの愛と決定的に違うのは、子女の愛も、兄弟姉妹の愛も、その対象と範囲を広げれば広げるほど豊かになっていくのですが、夫婦の愛だけは違います。卵子が数億個の中からたった一つの精子だけを受け入れ、その他のすべてをシャットアウトするように、夫婦の愛はたった一人だけを対象とするものなのです。夫婦の愛は、一人の相手との間でどこまでも「深める」ものであって、対象と範囲を広げれば広げるほど、逆にその愛は浅く薄くなり、その価値は劣化してしまうのです。
世界で最も美しいのが男女の愛、夫婦の愛です。それは、子女の愛、兄弟姉妹の愛の土台の上で育まれる「完成段階の愛」であり、それまで培われてきたすべての愛の「実り」なのです。

しかしだからこそ、土台となるそれまでの愛を十分に育まず、準備のできていないまま夫婦の愛を結ぼうとすると、それは極めて自己中心的で略奪的な「最も醜い愛」となり、お互いを傷つけ、結婚生活を破綻させる結果になってしまうのです。
いわば、人が結婚するまでの独身期間の人生は、すべてのこの「夫婦の愛」を正しく結ぶための準備期間であると言えるのです。