理解してから理解される

では私たちは、お互いに何を期待しているのでしょうか。多くの場合は、自分の期待が満たされることを願うのではないでしょうか。ですから相手を理解し、相手の期待を満たそうと努力することで、相手の心に多くの信頼残高の預け入れができるようになるのです。

 

普通、人は「あなたが私のことを大事に思っているとわかるまで、あなたの意見に興味はない」のです。信頼残高の預け入れをすることによって、徐々に相手が「自分を大事に思っていてくれている」と感じてくれるようになります。そうなって初めて、「この人の話を聞いてみよう」となるのです。

 

子供にとって、傷つきやすい自分をさらけ出せる、支えと励ましが受けられる環境を作ることが大事です。「ここにいてもいいんだ」とか「ここにいる人は、私がここにいることを望んでいてくれている」とか「私に関心を持っていてくれている」というように、私たちは居場所を必要としているのです。それを土台として、未来に向かって前進できるようになります。

 

子供は、親の動機を見抜く天才なのです。親として、しっかりと子供に愛が届くようにするために、子供の気持ちをしっかりと共感して上げましょう。そうすれば、今までの傷を乗り越えていけるようになるのです。

 

私たちは、よく感情的に相手に対応してしまうことがあります。「売り言葉に買い言葉」とよく言いますが、相手の言動に対してムカついたり怒ったりして、相手に攻撃的な態度で接したりしてしまいます。「怒り」や「攻撃的な態度」というのは、お互いの向上のための相乗的な効果を妨げてしまう大きな要因となります。

 

高慢な態度というのは、自分が誰かより優れているという自己満足的な姿勢から生まれてきます。「自分が正しいと相手に示したい」「自分の意見を通したい」という気持ちにとらわれるのです。これでは、お互いにより良い相乗効果を生み出すことはできません。
また、怒りというのは、自分自身の罪悪感の裏返しの場合もあります。自分自身が穏やかな心でいるならば、それほど感情的になることもないはずです。怒りの気持ちで相手と接すると、相手のミスや弱点を指摘したりしてしまうことになるでしょう。

 

日々、マイナス的な感情とのつきあい方を考えてみましょう。他人の行動に振り回されない自分作りをしてみましょう。いやな気持ちになるかどうかは、自分の選択にかかっているのです。

 

また、許すということについても考えてみましょう。「許す」というのは動詞です。許さなければ、いつまでも自分は被害者のままです。いつ被害者から解放されるかは、自分自身が決めるのです。自分が被害者であり続けるということは、相手を加害者にしたままにしておくということです。感情的な行動スタイルから主体的な共感的な行動スタイルへと変える選択をしていきましょう。

 

許せないと感じている自分と向き合うようにしてください。そして、心の奥にある良心の声を感じてみてください。相手を許そうとする良心の声に耳を傾けてください。あせらずにじっくりと向き合ってみてください。

 

親も、まず子供に親のことを理解してほしいと望んでいることが多いようです。そして、親の言うことを良く聞いてくれる子供であってほしいと望んでいるのです。しかし、もう一度自分の姿勢を見つめ直して、「自分が理解してから理解されよう」と思っているのか、それとも「まず理解してほしい」と願っているのかをしっかりと整理してみましょう。
「理解してから理解される」。これが授受作用の原則です。

 

多田聰夫

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