共感的聴き方の実践②

「共感的聴き方」の例を、『10代の子どもの心のコーチング』(菅原裕子著、PHP文庫)より紹介します。

 

『私には高校生の息子が一人います。それまでの私は、息子に対し、話すことと言えば指示・命令・説教ばかりでした。この子はどうしてこうなんだろうと、息子を責めることばかりでした。ただ親が黙って、息子の話を聞くだけだから簡単だろうと思っていましたが、「黙る」というのはなんて大変なことか…。黙って私の指示や命令を聞いていた息子はエライ。
そして黙り始めて1週間。黙って話を聞く私に対して、「調子が悪いの?」が息子の反応でした。それまで私の話を聞いていた息子に、自分が話すチャンスが巡ってきたのです。
そして、今までの不満もふきだしました。「4、5、6年は学校がつらかった。特に5年の時は学校でもガミガミ、家でもガミガミ。はっきり言って自分の居場所がなかった。家のベランダから飛び降りようと思ったけれど、やめた。」
「母ちゃんに自分の意見を言うと3倍になって返ってくる。だから言う気もなくなるし、こわい」…
私は今までのことを心から詫び、息子が死なずによかったと思うと同時に、自分の不安から、息子に無駄な言葉を浴びせ、傷つけていたことに気がつきました。
それに対して息子は、
「でも、今、おれは気にしてないよ。5、6年の担任から教えてもらったこともあるし、今は楽しいし。母ちゃんのアドバイスも、役に立ったこともあるから」
息子のこの言葉に本当に救われました。今も、つらかった過去のことを少しずつ話してくれています。私の黙って聞く習慣も身につき始めています。…』

 

この例の中でとても大切な二つのポイントがあります。一つは、「今までのことを心から詫び…」たことです。これは、母が子供の話を共感的に聴いてみて、子供の心がわかってなかったと、初めて「自覚」できたのです。それで、子どもに謝ることができたのです。

 

二つ目は、「自分の不安から無駄な言葉を浴びせて、子供を傷つけていた」ことの自覚です。親が子供に対して自分の感情をぶつけていることがあります。子供のためではなく、親自身の感情のはけ口になっているのです。親としては、子供が心配だからと叱っているつもりでも、それが感情のはけ口となっている場合、親から子供への攻撃になってしまうのです。そして、子供の心をただ傷つけるだけになってしまうのです。

 

親には、もっと忍耐強く子供を諭していくように説明する責任があります。子供が自分の不安を打ち消す方向に向かうまで、黙って話を聞くようにします。子供を何とかしてやりたいと思うのであれば、まずは黙って聞くことです。子供が何をどう感じているのかが分からないと、「なんとかしてあげる」こともできません。特に、思春期の子供の場合は、話を聞くのにもより本気度を求めるようになります。
ところが、私たちは普段から人の心を共感する聴き方に慣れていないのです。ですから、「共感的聴き方」の練習をしてみる必要があるのです。

 

さて、「共感的な聴き方」の具体的な練習の仕方は以下のとおりです。

1)まず、二人でペアを組みます。そして聞き手と話し手に分かれます。
2)聞き手は、話し手が、何を言おうとしているのか、どんな気持ちなのかを理解してあげたいという気持ちで、そのことに集中して共感しながら話を聞きます。質問や意見は言わないで、ただしっかりと聞くようにします。うなずいて聞くようにしてください。
3)4分たったら聞き手と話し手の役割を交代して、同じように演習をします。
4)演習が終わったら、「共感的聴き方」をしてみてどうだったか、また、「共感的聴き方」をしている人に話してみてどうだったかを、感想や意見を聞いて見ましょう。

 

黙って聞いてあげるというのは、素晴らしい愛情です。親にとっては、言いたくなってしまう自分との戦いでもありますが、何でも話すことができ、相談できる親になるための訓練だと思ってください。親が子供の気持ちを聞いて共感してあげることで、親に対する信頼感と安心感が生まれてきて、心が開放されて行きます。それはまた同時に、親自身の心が成長していくことでもあります。もちろん一回の練習ですぐにできるようになるものではありませんが、何度も何度も繰り返して練習をしてみましょう。

 

多田聰夫

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